sideシェリエ

な、な、な、なんなの!!!???

いきなりヒルのように吸い付いてきて…
ぬるりとした感触が首筋をなぞって…

って、ばかばかばか!
思い出しちゃダメよ、あんなハレンチなの!

け、け、ケダモノよ!
そうよ、ケダモノだわ!

なんて野蛮なんでしょう!!!

許せないわ!!!

…でもね。
結婚するって、こういう行為を…
その…
する…のよ…ね?

私に出来るかしら…?

しかも好きでも無い相手となんて…

いいえ、きっと出来ないわ…

でも、結婚式を挙げたら、一緒の寝室で寝なくてはならない…
それが、どうしようもなく怖かった。

ロロドロア様を…
まだ、心の底から愛してはいなかった…

♦︎

翌朝。

「おはよう、シェリエ。」

ロロドロア様が牛乳をコップに入れながら挨拶する。

「………。」

私はそれを無視する。

目も合わせない。

少しは分からせてやらなくちゃ!

「…まだ怒っているのか?
昨日の事を。」

「当然ですわ。」

ピシャリと言う。

「シェリエ…
俺は…
き、き、君のことが…」

「?

分かってますわ。
政略結婚ですものね。
あなたが私を愛してない事は。

それでしたら、私も一切愛していませんから、安心なさって。」

私はパンをちぎりながら言った。

「そうか…
昨日の事はすまなかった…
許してくれ…

でも、聞いてくれ。








俺は君のことが好きだ。」

「え……」

今聞き間違いかしら?
好きだと言いましたの!?
まさか!

私…
何か、なにか言わなくては…!?

「あの、その…
私は…






ごめんなさい…」

私には謝る事しか出来なかった。
ロロドロア様に対しての好意はまだ、心の奥底に眠っていた。
そして、それに気づきもしなかったのだ。