sideシェリエ

その日、ロロドロア様はご友人を連れて帰って来られた。

「シェリエ、すまないな。
騎士団・副団長のキリアヌスだ。
コイツがどーしても!来たいというものだから。
なに、キリアヌスには水だけ出しておけばいいから。」

ロロドロア様はキリアヌス様の肩を少し乱暴に叩いてそう言った。

「は、はぁ…
いえ、初めまして。
キリアヌス様、シェリエ=セクティスでございますわ。」

「これはご丁寧に。
キリアヌス=ゼルゼットです。
よろしくお見知りおきを、セクティス夫人。」

キリアヌス様は美しい燃えるような赤の瞳で麗しくそう言った。
ロロドロア様と並んでも見劣りしないその美しさと、背丈…

類は友を呼ぶのかしら?

そんな妙な事を考えてしまう。

とにかく1人増えたので、慌てて料理を準備しなおした。

「どうぞ、こちらへ。」

書斎で話し込んでいる2人をダイニングへ呼んだ。

「シェリエさんは、今回のC型の血液型の共通点を発見されたそうですね。」

キリアヌス様がステーキを切りながらそう私に話しかけた。

「え、えぇ…
偶然ですわ。」

「彼女の前世は探偵か腕のいいハンターだったかもしれないぞ。
気をつけろよ、キリアヌス、下手な事をすると火球が飛んでくるんだぞ。」

ロロドロア様はまるで少年のようにそう言った。

「まぁ!
あれはロロドロア様が悪くて…」
 
「どういう悪事をしたら、火球を飛ばすんですか?」

キリアヌス様が尋ねる。

い、い、言えない…!
キスされそうになって火魔法を使った…なんて…!

「ま、まぁ、それで、今日は帰りが遅かったのですけど、何かありまして?
魔導士団・副団長と騎士団・副団長がご一緒というのも不思議ですわ。」

私は話を逸らした。

「王都で行方不明者が出たんだよ。
ダンジョンじゃなく、王都の《《都市内》》でね。」

ロロドロア様が赤ワインを飲みながら言った。
ロロドロア様がお酒を飲むのは珍しい。
てっきりお酒に弱いのかと思っていたけれど…

「まぁ…!
王都内で!?

これは、いよいよ犯人を突き止める必要がありそうですわね!」

私は目を輝かせる。

「なっ?
変だろ?」

「変わった夫人ですねぇ。」

ロロドロア様とキリアヌス様は顔を見合わせて面白そうに言った。

それから、ボードゲームをして、あっという間に時間は過ぎて、キリアヌス様はお帰りになった。