sideロロドロア

翌日、その日も俺は仕事だった。
シェリエに見送られ、後ろ髪を引かれながらも、魔導士団本部に向かった。

血液型の件をゼンスさんに報告するか、まだ迷って居た…

そして、本部に着くと、部下達がなにやらざわめいていた。

「おい、どうしたんだ?」

俺は適当な部下に声をかけた。

「行方不明者が…!」

「またか…」

俺は短くため息を吐いた。

「それが…」

「どうした?
また、冒険者だろう?」

「いいえ、王都内で消えたそうです…!」

部下は言い、現場に向かう為に走り去った。

王都…内…で…?
魔導士団や騎士団が巡回するこの厳重な都市で…?

まさ…か…

「おい!
消えた者のプロフィールを用意してくれ!
至急だ!」

俺はまた適当な部下に命じた。

そうして、副団長室に着くと、ゼンスさんが俺を待って居た。

「皇帝陛下の耳にも入ったようだ。
魔導士団を代表して、私とお前さんが呼ばれたようだ。
午後から本城の王の間の前に来てくれ。」

ゼンスさんは言った。
その声と表情はいつもにも増して緊張感が走って居た。

「分かりました。」

「副団長!
プロフィールの資料です!」

その時先ほどの部下が行方不明者のプロフィールの資料を持って来た。

俺はすぐさま《《あの項目》》に目を通した。

やはりか…!

「じゃあ、後ほどな。
ロロド。
俺は都民を宥めるので忙しいんでな。」

「はい。」

俺は短く答えると、窓際の副団長の席に深く腰を下ろし、窓の外を見やった。

さて、皇帝陛下にどう申し上げればよいか…?
それとも、まだ俺の胸に秘めておくか…?

いや、言わねばならんだろう。
もはや、ダンジョンだけの騒ぎでは無いのだから…