sideシェリエ

一見、行方不明になった冒険者達には共通点は無いように思える…

しかし、よく資料を見てみると、ある事に気づくのだ。
少なくとも、私はある奇妙な点に気がついた。

「ロロドロア様、この項目をよく見て下さい。」

私はプロフィールの、ある小さな欄を指差した。

「なんだ?
ん?
血液型…???

血液型がどうしたと…

ま…さ…か…!?」

ロロドロア様は冊子のページを勢いよくめくり始める。
気づかれたようだ。

「そうですわ。
全員血液型が同じですの。
しかも…
その血液型は…」

「「C型…」」

私とロロドロア様の声が奇妙に重なった。

この世界には、A、B、C、Dの血液型がある。
その中でもC型は少し変わっている。

「どう言う事だ…?
なぜ、C型の冒険者を狙っているんだ…?

いや、まだ断定するには…」

「ここには、16人のデータがありますわ。
その全てにC型と記されている。
それでも断定は早いとお考えですの?」

私は戸惑うロロドロア様に言った。

「しかし、何故…?」

「それは分かりませんけれど…
共通点に間違いは無いかと…」

私は言う。
元ご令嬢というより、元探偵のようだ。
自分でそう思った。

「この件、少し俺に預からせてくれ…
もちろん、君はペラペラと喋らないだろうが、他言無用に願う。」

「分かっていますわ。
その代わり…」

「?
何だ?」

「事件に進捗があれば教えてくださいませ。」

私は少女のようなイタズラっぽい笑顔でそう言った。

「全く君も変わっているな…
やれやれ。」

「おやすみなさい、旦那様。」

私は初めてロロドロア様を旦那様と呼んだ。

「おやすみ、奥様。
良い夢を。」

ロロド様は穏やかに私に微笑んで、そう返してくれた。