sideシェリエ

私たちはあーでも無いこーでも無いと議論を交わしながら、モンスターを一網打尽にして、魔の森リザンヌから帰って行った。

こんなにもダンジョンで私に遅れを取らない、いいえそれどころか私さえも凌ぐ力を持つ男性に出会った事はあるだろうか…?

彼とこうして生きていくのも、もしかしたら…
悪くは無いのかもしれない…

ふと、そうまで思った。

命に変えても復讐をしたいと、そう思っていたのに…

ロロドロア様と居ると、自然と本来の自分になれる気がした。

だけど…
元々のプライドの高さが邪魔して、それを彼に伝える事は出来なかった…

「しかし、ダンジョンデートなど初めての経験だ。」

「あら、誰と比べてらっしゃるのかしら?」

「い、いや、比べると言うほど…!」

焦るロロド様に私はついおかしくて吹き出してしまった。

「おいおい、からかったのかよ。」

ロロドロア様は端正な顔を少ししかめて、嫌そうにする。
その表情も冷酷魔導士ではなく、どこか少年ぽい。

私がクスクス笑っていると、ロロドロア様は急に私の方に向き、立ち止まった。
そして、私の顎を上げると…

次の瞬間…

触れるか触れないかのキスをした。

「な、な、何を…!?」

私はテンパり、それしか言えなかった。

「別に…
妻にキスをしたら、投獄でもされるのか?

まぁ、君に捕まるのも悪くはない。」

「そ、そ、そう言う…」

「ん…?」

「その、口説き文句って言い慣れてますの…?」

「俺が軽い気持ちで君を口説いている、と…?」

ロロドロア様から僅かに冷気が漏れた。
怒っている…
これは…
相当に…

「そうでは…!」

「もういい。」

彼は行ってしまった…