んー…
そう言われも…

ん?
そういえば1つだけ欲しいものがあったわ!

「ガイ…じゃ無い…!
シャルナーク様…!

1つだけ欲しいものがございますわ。」

「何だ!?
申してみよ!」

「それは…

《《卵焼き器》》でございます!」

「卵…焼き…器…???

卵を焼くのか?
フライパンじゃダメなのか?」

ガイコツ王子は言う。

そう、この世界の卵焼きと言えば、目玉焼きかスクランブルエッグか、オムレツ。
もちろん、フライパンで充分だと考えられていた。

しかぁぁぁし!
私が作るのは、スクランブルエッグでも目玉焼きでも、オムレツでもなく卵焼きなのだ!

もちろん、私にはフライパンで卵焼きを作る技術もある。

だが、どうしても時間のロスな気がしていたのだ。

「卵焼き器と言われても…?
一体どんなものなのだ?」

「はいはい!
今絵に描きますので、少々お待ちください!」

私は張り切って絵に描いた。

ラテアートもやっていた為絵心はある。

「なるほど、ふむふむ。
鉄製か?」

「えぇ、鉄でございますね。
フライパンの一種ですが、形が四角にございます。」

「うーん、よく分からないが、それでそなたが喜ぶのなら…」

ガイコツ王子は言う。

「喜んますわ!
ありがとうございます!」

私は笑顔で言った。

「ん?何か甘い匂いが…」

ガイコツ王子は青白い鼻をクンクンと言わせる。

「あぁ、フレンチトーストの残りがありますわよ。
お食べになります?」

「あぁ、すっかり朝食を忘れて来てしまった。
いただこうか。」

ガイコツ王子はフレンチトーストを美味しい美味しいと言ってペロリと平らげた。

「食後のハーブティーはいかがですか?」

「あぁ、少しスッキリしたいと思っていたところだ。
いただこう。」

「ペパーミントティーですわ。
どうぞ。
清涼感が特徴ですわよ。
口の中がスッキリしましてよ。」

ガイコツ王子に慣れて来たナタリーがペパーミントティーを注ぐ。

「うむ、美味い!
フレンチトーストの少しくどい味を洗い流していくようだ…」

そうして、少しおしゃべりした後、ガイコツ王子は政務があると言って本城に帰っていった。

「ねぇ、ナタリー?
ガイコツ王子は政務なんて担っているの?」

「それはもちろん、そうですわよ!
ご存知ありませんのね!
外政のザルトハック様、内政のシャルナーク様、と言ってあの2人はみんなから崇められる存在ですのよ!」

へぇ…
意外だわ。
ガイコツ王子にそんな特技があったなんて…

私は感心して、昼のパスタを作り始める。
今日は和風の気分だから、わさび醤油パスタ、なぁんて良いかもしれないわね。
広いキッチンでるんるんで料理する私。