やっと1人になり、ジャーマンポテトでも作ろうかと、じゃがいもの皮を剥いていると、広い部屋の扉がノックされた。

「はぁい!
空いてますわ!
今ちょっと手が離せないのよ!」

私がそう言うと、3人の女性が入って来た。
身なりを見るに、1人は女官、2人は侍女であるようだが…

「初めまして。
エレナ様。
エレナ様の身の回りの事を管理させていただくナタリーと申しますわ。
こちらの2人は侍女のポーラとセスナです。

2人とも、エレナ様にご挨拶を。」

ナタリーが催促する。

「は、初めまして!
ポーラでございます!」

そばかすがキュートなポーラが言った。

「初めまして…
あの、セスナです…」

黒髪がぴょこんぴょこんと跳ねたセスナが言った。

「あぁ、よろしくね。
3人とも。
今ね、ジャーマンポテトを作ってるの。
だから、ちょっと手が…」

「まぁ!
エレナ様がジャーマンポテトを?

いえ、お料理好きと言うのは聞いておりましたから。
存分に作られてくださいませ。

しかし、料理以外の事は私たちが全て致しますので。
ポーラお風呂場の掃除を。
セスナは洗濯物を。」

ナタリーが指示を出す。

「はい、かしこまりました!」

「ええと、はい…!」

「ありがとう3人とも、料理以外はからっきしだから助かるわ。」

「いいえ、これが私たちの仕事でございますから。
そうそう、明日の夜は初夜でございますので、明日の昼にイブニングドレスを選びにいきましょう。

この後宮には、ドレスショップ「ココ」が入っていますのよ。」

ナタリーは言った。
私はじゃがいもの芽を取りながら、頷いた。

さて、あとは玉ねぎとベーコンを1cm角に切って〜、ディルを粗切りして〜。
あぁ、忙しいわ。
いいえ、至福の時…!

私はベーコン、玉ねぎ、じゃがいもを少しこんがり目に炒めて塩胡椒を振り、最後にディルを加えた。

「さぁ、出来たわ!」

私はお皿に盛り付ける。

その時ナタリーのお腹がくるるるる…と鳴った。

「ま、まぁ、私ったら!
申し訳ございません!
エレナ様の作った料理を見てお腹を鳴らすなど…!」

「良いのよ、みんなで食べましょう!
取り皿とフォーク持ってくるわね!」

そして、ポーラとセスナも呼んで食べた。

「美味しい…ですわ!」

「少しこんがりしているのがたまりませんね!」

「私よりお料理上手…」

塩加減もちょうど良く、じゃがいもはホクホクで、ベーコンは少しカリッと、玉ねぎもよく炒まっていて甘味が出ている。
塩胡椒だけの簡単料理なのに、この美味しさ。
まさに、ジャーマンポテト!

3人に褒められて気分は上々だ。