sideシャルナーク

エレナは2つ目の事件を解決した後、みんなからの相談事を引き受けるようになった。
それは別に良い。
本人が楽しいのなら、俺にそれを止める権利は無い。

だけど…
そのおかげでエレナは忙しくなり、俺と会う機会がめっきり減ってしまった…
いつ部屋を訪ねても料理教室を開いていたり、お茶会していたり、必ず誰かがいるのだ。

俺は寂しかった。
そして、エレナにも寂しいと思って欲しかった…

そんなのは勝手な俺の願いだって分かってる。
だけだ、たまには、会いたいよって、そう言って欲しいんだ…!

それから、俺にはもう一つエレナに対して不満があった。

それは…









《《かっこいい》》と言ってもらってない事…

俺は確かにカッコよくてなったはずだった。
だけど、エレナの口からはかっこいいという言葉を一度も聞いていなかった…

もっと一緒に居たい…
シャルナーク様かっこいいですわ…

そう言われたら俺はどんなにか嬉しいだろうか?

俺はその日王都の高級菓子店のケーキとシャンパンを持ってエレナの部屋を訪ねた。

ん?

何やら、笑い声がするぞ?

また誰か居るのか?

俺が入ると…

「まぁ、シャルナーク様もいらっしゃいましたの?」

エレナが驚いて言う。

《《も》》?って???

中を見るとローズリートがいた。

何でローズリートの奴が居るんだ!!!

俺はついカッとなった。

「ローズリート様がお料理に興味が出て、オムライスの作り方を聞きたいとおっしゃったので…」

エレナが俺の表情を見て恐る恐るそう言った。
そんなの嘘に決まってるじゃないか!
エレナに近づくためのやつの嘘だ!

そう思ったが、グッと堪える。

「そ、そうか…
いや、俺もオムライスを作りたいと思っていたんだ!
俺も良いか!?」

「え、えぇ、構いませんけれど…」

「エレナ、このエプロンで良いんですか?
変じゃありませんか?」

ローズリートが言う。

すると…
エレナは…











「いいえ、かっこいいですわよ。」

と、そう言ったんだ…!

俺は頭に来た!!!

「なんで…
なんで、そいつがカッコよくて俺には何も言ってくれないんだ!?
その馬鹿には料理を教える時間を取るのに、俺には会いに来てもくれないじゃないか!
エレナのあほう!
もう知らぬ!」

俺は泣きながらそう言った。
そして、ケーキとシャンパンを床にぶちまけて走っていった。

あんまりだ…!
俺がこんなに好きなのに…!
俺ばっかり!
俺ばっかりじゃないか!!!

そして、気づけば後宮の庭にいた。

袖で涙を拭った。
だけど、情けなくて、涙はまた溢れた。