それから、1ヶ月後。

シャルナーク様は見違えるように美しくなった。
少し猫っ毛の金髪は流れるシルクのように肩に降りかかり、瞳はエメラルドグリーン色でパッチリされ、金色のもふもふまつ毛が彩っている。
眉毛は凛々しくなり、しっかりと生えているし、鼻筋は通り続く唇はふっくらピンク色に輝いている。

身体には確かな筋肉の流れがあり、胸筋も背筋も程よくついているのが分かった。

それでもシャルナーク様の性格は変わる事なく、いつも純粋で素直だった。

他のご令嬢達もシャルナーク様の変わりように、態度が一変した。

その日天気もいいので、後宮の庭にピクニックに行こうとなって、バスケットにサンドイッチを詰めた。

敷き布を広げてみんなで、バスケットからサンドイッチを出していると…

散歩中の姫君達が立ち止まってシャルナーク様を眺めた。

「シャルナーク殿下よぉ!」
「今日もお素敵ねぇ!」
「あぁ、エレナ様が羨ましいわ!
あんなイケメンと!」
「ローズリート様を超える美しさよねぇ…!」

そして、姫君達の人だかりが出来てしまった。

これでは、落ち着いて食べられない。

動物園のパンダにでもなった気分だわ…

「エレナ様…
図々しいお願いですけど、私たちもご一緒しても…?」

1人の姫君がおずおずとそう言った。

「まぁ、もちろん歓迎しますわ!
どうぞ、一緒に食べましょう!

ナタリー敷き布をもっと持ってきてちょうだい!」

「ありがとうございます…
散々あなたのことを馬鹿にしてきた私たちに…

ありがとう…エレナ様…」

そして、みんなで食べ始めると、話題はシャルナーク様の美しさから一転、私の作ったサンドイッチになった!

「まぁ、このサンドイッチ!
すごく美味しい…!」

「あぁ、それは、私のイチオシのタルタルサンドイッチですのよ。
まぁ、要するにタルタルソースに卵とベーコンを入れただけですけどね。」

「本当!
美味しいわ!

ぜひ、作り方を教えていただけない!?」

姫君が言う。

「え、えぇ、もちろん!」

私の料理で友達ができたのなんて…
いつぶりかしら…?

今世では料理などご令嬢のすることでは無い!と蔑まれ続けていたから、きっと前世ぶりね…

「エレナ様、こっちのパンのサンドイッチは何ですの?
絶品ですけど。」

「あぁ、それは、フランスパンという少し固いパンにサーモンとアボカドをいれたサーモンアボカドサンドイッチですわ!
それも、イチオシなのよ。」

この世界では、カルパッチョのような食習慣があるので、生のサーモンも受け入れられたようだ。
アボカドと組み合わせるのは、少し斬新かもしれないが。

そんな感じで、ピクニックは30人越えして、大盛況となった。