「エレナ様、少しだけ後宮について説明してもよろしいですか?」

「え、えぇ、どうぞ…」

私は夜ご飯のメニューを考えるのをやめて耳を傾ける。
後宮に入るならば、多少の知識はあった方が良いだろう。

「ありがとうございます。

まず、王子様については何かご存知ですか?」

アルフレッドさんが尋ねる。

「え、えぇ。
6人もいらっしゃるとか…
それくらいしか知らないのだけど…」

「そうですね。
暗殺や事件を避けるために王子の情報はトップシークレットとなっていますからね。
しかし、後宮に入られるエレナ様にはお話しても良いでしょう。

王子は、おっしゃる通り6人いらっしゃいます。

第1王子、ザルトハック様。
第2王子、シャルナーク様。
第3王子、ローズリート様。
第4王子、セオドリック様。
第5王子、ゼンリュート様。
第6王子、サイアネック様。

の6名にございます。

エレナ様は第2王子シャルナーク様の正妃様でございますので、上の位となるのは、ザルトハック王子の正妃、レミーア様だけとなります。

もちろん、だからといって他の姫様達におごって良い訳ではありませんが。
後宮では、第2位の位となることを心して、みんなの手本となるような行動を心がけてください。

エレナ様には、リリィの後宮に入っていただきます。
後宮の説明は後々女官が致しますので。
とりあえずはここまでですが、何か分からない点などはございます

「いいえ、充分ですわ。」

アルフレッドさんに私はニッコリ笑ってそう答えた。

そして、馬車は後宮に到着し、私は真っ白な建物のリリィの後宮に入った。

「エレナ様、シャルナーク様とのご結婚おめでとうございます!
私はこのリリィの後宮の取り締まり役のサンタナと言いますわ。
どうぞ、よろしくお見知り置きください。

では、早速お部屋の方へ。
あぁ、エレナ様用にずいぶん改装したみたいですわ。
キッチンは広く取ってありますけれど…」

「ありがとうございます。
楽しみですわ!」

私は心からそう言った。

広いキッチンは私がガイコツ王子と結婚する時の最初の条件だったのだ。

部屋に着くと、白の絨毯とベージュの小物やクッション類などが目に入ってくる。
観葉植物がところどころに置いてあるのは、私が指示したのだ。

白系とグリーンで統一されたその部屋は清潔感しかなかった。
そして、白のタイルと銀色に光る広いキッチン…

なんと!
調理器具も揃えてあった!

「素敵…!」

私はキッチンに手を滑らせながらいう。

「気に入っていただけて何よりですわ。
うふふ。
お料理がご趣味とか。
そうでなければ、ガイコツ王子と結婚などは…

ハッ!
失礼いたしました!

何卒ご容赦ください!」

かなり失礼な発言だが、私は許した。
心は料理、だ!!!