外出許可証を手に入れた私は、まずはルードラの復興に手をつける事にした。
確かに金山は発掘されたが、まだまだルードラの地方の人々は飢えているのだ。

外出許可証と言えど、出かける場所と帰ってくる時刻は言わなければならない。
それに、外泊するとなれば、皇帝陛下の許可が別に必要である。
そんな事を面倒くさいな、と思いながらも、外出許可証を手に入れた事には満足していた。

後宮の馬車に乗り、その日ルードラに出かけた。
エドババーバ国は一見裕福にも見えるが、まず、道があまり整備されていない。
これは、戦闘時の補給部隊の動きに関わってくる重要な事だ。
道が整備されていればそれだけ部隊の供給もスムーズになると言うものなのだ。

ルードラに着くと、多くの炭鉱員で賑わいつつあった。
酒場には人が溢れ、土産物屋もちらほらと見える。
しかし、当の農村地区は閑古鳥状態が続いている。

私はルードラ侯爵に会う事にした。

「これは、これは、エティーナ様!
この度は我がルードラの街にお力添え下さり誠にありがとうございます!
何なりと仰せください。」

ルードラ侯爵はかなり上機嫌に私を迎えた。
それはそうだ。
私の尽力で金山を掘り当てたのである。
今はその功績に乗るしかあるまい。

「ルードラ侯爵様につきましてはご機嫌麗しく…
さて、お願いしたい事がございます。
金山は発掘され、街は賑わいを取り戻しつつありますが、肝心の農村地区がまだまだ改革の余地がございます。」

「はい、それはもうおっしゃる通りですが、どのように改革すべきか…?」

「簡単な事です。
今のルードラには財源があります。
高給にて、土魔導師と植物魔導師を雇ってくださりませ。
土魔導師は土壌を改良し、植物魔導師は作物を育てます。
そうすれば、ますますこの街に人が集まるでしょう。」

「なるほど、早速募集をかけてみます。
それにしても軍師姫はどこでそのような知識を?」

「それは、秘密にございますわ。」

私はニッコリと微笑みそう言った。

そうして、1週間後には、5人の土魔導師と3人の植物魔導師が集まり、ルードラは農業の街としても復興して行ったのだった。

さてさて、そろそろルードラに入り浸っても仕方ない。
後宮のお役目?も果たさねばなるまい。

今度、皇帝陛下の25歳の生誕祭がある。
ドレスの一つも選ばなくてはならぬか…

はぁ…
めんどくさいとはこの事だ。

私はそんな事を思いながらもルードラを後にし、トパーズの後宮に帰って行ったのだった。