わたしは次の日、出勤すると共に絵里奈社長に退職届を提出した。
退職届を快く受け取った絵里奈社長は「新星さんが居なくなるなんて、寂しくなるわね〜!」と嬉しそうに言っていた。
「父の四十九日の前日には退職させていただきますので、それまでは宜しくお願いします。」
「はいはい、わかりましたよ〜!」
わたしは絵里奈社長に一礼すると、自分のデスクに戻った。
すると、慌てた様子で本間部長と住田課長がわたしのところへ駆け寄ってきた。
「新星さん、どうしたんだよ!急に辞めるだなんて!」
「君に居なくなられたら困るんだよ!」
自分たちの仕事が更に増える心配をして言っているのだろう。
わたしは「申し訳ありませんが、もう決めたことですので。」とだけ言い、自分の業務についた。
それから、絵里奈社長からの嫌がらせはなくなった。
そのことから、やっぱりこの町を出る決断は正解だったんだと思えた。
しかし、そう油断していた時だった。
ある日の仕事中にわたしのスマホが鳴ったのだ。
着信先は、父が働いてた職場からだった。
わたしは廊下に出ると、電話に出た。
「はい、もしもし?」
「あ、千紗ちゃんかい?仕事中に悪いね!」
「菅野さん?どうしたんですか?」
わたしがそう訊くと、菅野さんから信じられない言葉が出てきたのだ。