フラフラになりながら、すっかり日が落ちた暗い道をわたしは俯きながら歩いた。

すると、目の前から「千紗!」とわたしを呼ぶ声がした。
ふと顔を上げると、そこには久登が居て、こっちに向かって走ってきていた。

久登の姿を見て安心したのか、わたしの身体からは一気に力が抜け、地べたに手をついて座り込んでしまった。

久登はわたしに駆け寄ると「大丈夫か?どこに行ってたんだ、探したんだぞ?」と言った。

「ちょっと、寄り道してた。」
「寄り道って、、、こっちは廃倉庫くらいしかないじゃないか。」

久登は、わたしの姿を見て何かを悟ったのか、それ以上は何も言わず「ほら、帰るぞ。」とわたしをお姫様抱っこした。

「ごめんね、、、重たいでしょ。」
「思ってたより軽い。」
「何よ、思ってたよりって。」

わたしはそう言って、作り笑いをした。

「身体が冷たい。寒かっただろ?帰ったら風呂沸かすから、ちゃんと温まれよ?」

久登の一言一言が優しく、温かくて、わたしは涙が出てきた。
もう涙が枯れるくらい泣いたはずなのに、涙は溢れて止まらない。

「ありがとう、、、久登。」

わたしの言葉に久登は何も言わず、更に力強くギュッと抱っこする手に力を込めたのだった。