「はい! 部室に飾って、モテモテのご利益をもらうためです!」
新キャプテンの福山が、はきはきと答えた。まわりの1、2年も歓声を上げる。うちの部は、深刻なツッコミ不足らしい。
「というわけで、ボタンよこせ奈良!」
「今日だけで、何人におねだりされた? 白状してみ?」
にじり寄ってくる同級生たち。慶人は宙をながめた。
「えーと、12人、かな」
「じっ、12人!?」
「まあ正直、想定の範囲内……」
「ぎゃー! 言いやがった!」
「こんのやろー!」
3年生が追いかけっこを始めると、1、2年生も便乗して盛り上がる。慶人があっさりつかまったタイミングで、後輩のひとりが不思議そうに言った。
「でも、そこまで徹底して断るのって、大変じゃないんですか? オレだったら、喜んで制服一式あげちゃいますよ」
「それは重いわ」
「どーせ、他校にめっちゃ可愛い彼女さんがいるんだよ。ね、先輩」
後輩たちが、どうなんですか、と言うようにこちらを見る。
つかみかかってくる手をよけながら、慶人はほほえんだ。
「んー、ないしょ」
新キャプテンの福山が、はきはきと答えた。まわりの1、2年も歓声を上げる。うちの部は、深刻なツッコミ不足らしい。
「というわけで、ボタンよこせ奈良!」
「今日だけで、何人におねだりされた? 白状してみ?」
にじり寄ってくる同級生たち。慶人は宙をながめた。
「えーと、12人、かな」
「じっ、12人!?」
「まあ正直、想定の範囲内……」
「ぎゃー! 言いやがった!」
「こんのやろー!」
3年生が追いかけっこを始めると、1、2年生も便乗して盛り上がる。慶人があっさりつかまったタイミングで、後輩のひとりが不思議そうに言った。
「でも、そこまで徹底して断るのって、大変じゃないんですか? オレだったら、喜んで制服一式あげちゃいますよ」
「それは重いわ」
「どーせ、他校にめっちゃ可愛い彼女さんがいるんだよ。ね、先輩」
後輩たちが、どうなんですか、と言うようにこちらを見る。
つかみかかってくる手をよけながら、慶人はほほえんだ。
「んー、ないしょ」