「結依ちゃん……だよね?」


──いや、名前呼ばれてるし。


「大丈夫?」

顔をのぞきこまれている。


──あ、そうか。大丈夫じゃないんだ、私。


「なんだ、幻覚か」

「幻覚じゃないよ」

右手をぎゅっと握られ、そのまま持ち上げられてく。

私の手が翔くんの頬に触れる。


「ね? 幻覚じゃないでしょ?」

「……っ!」

私は思わず、声にならない叫びを上げた。


「今日から俺、結依ちゃんのお義兄ちゃんだから。よろしくね?」


──今日から? お義兄ちゃん? 翔くんが?


「えええええ!?」