声がした方に目をやって、俺は口から心臓が飛び出そうなほどに驚いた。

 そこに、砂場に置かれた真顔の生首があったからだ。


「っ……、へ……?」


 間抜けな声が漏れてしまったけど、きゃあ!って女々しい悲鳴を飲み込んだだけでも褒めてほしい。
 だって深夜の公園で、真顔の生首に話しかけられて冷静でいられるやつなんていない。


「少し話をしませんか?」


 絶対嫌だ、と思った。
 同時に『とうとうその類のものが視えるようになってしまった』と絶望し始めていた。
 どうしよう。このあとどうなってしまうのだろう。
 怖い話のラストって、大体闇落ちするか不幸になるか、ご想像にお任せします、で終わってる気がする。
 このままスルーしてなかったことにしたいけど、その強い目力にとらわれて金縛りにあったように動けない……気がしなくもない。 気持ちの問題かもしれない。