きっかけは、ルミの健気なアピールからだった。
　一目惚れだと言われ、何度も告白された。
　俺は彼女を作るよりバイトしたり友達と遊ぶ時間を優先したくて、何度も断っては泣かせた。
　それでもめげずに大好きって言ってくれるルミがだんだん可愛く見えてきて、何より単純に嬉しくて、好きだなって思うようになった。
　だから、付き合った。
　でも付き合って半年ほどたった最近は……メッセージのやり取りはすぐ返して欲しいとか、他の女の子と喋らないでとか、いっぱい会いたいとか……ルミから求められることが多くなってて、わからなくなっていた。
　そんなとき、見てしまった浮気現場。
　俺の中の何かがぽっきりと折れて、もう耐えられなかった。


――寂しかったんだもん

――不安にさせる聡太が悪い


　ルミの言葉が今頃心に刺さる。
　確かに最近の俺は、付き合いたての頃ほどルミに愛情をあげていなかったかもしれない。
　キスもハグも自分からしたくなる時がなくて、求められたとき義務的にやっていた。
　そういうところでルミは不安になったんだろう。

　……許してやるべきだっただろうか。
　付き合い始めた時、付き合うからには一生守ってやるって決めて
　俺なりに必死で彼女を大切にしてきたつもりだった。
　でも、つもりなだけで
　できてなかったんだろうか。
　俺が全部悪かったんだろうか。

　だめだ、わかんねぇ。
　

「あー……だめだ」

　
　やばい。
　なんか泣きたくなってきた。

　鼻の奥がツンとした、その時だった。

　
「――ちょっとすみません、そこの金髪さん」