その後も悪魔ベリタスは、怠惰な人間を見つけては騙して嘘をつかせ、その死ののちに天国(ヘブン)へ召されていくのを見届けては神を嘲笑った。

 大勢の穢れた魂の人間どもを天に送った。
 嘘と罪にまみれた魂によって天も神も穢されていくのだ。
 俺は神をも欺く大悪魔様さ。

 そして人間界においては遥かな時が流れ、堕天使ルシフェルに呼び出されたベリタスは、厳しい叱責を受けて処罰されたとか、悪魔から天使になったとか…あくまでも天界の噂なので定かではない。

 いずれにせよ、かつての大悪魔ベリタスは、人間たちから「聖ベリタス」と呼ばれて崇められる存在になったのである。それを知ったベリタスが、

「愚かな人間どもが俺に騙されおって」

 と、言ったかどうかは…定かではない。



注:ベリタス=Veritas(ラテン語で真実の意味)