命の火が消えた彼の魂が神の前に立った。最後の審判である。

「俺は…私は罪を犯しました」

 神の前に引き出された彼が深く首を垂れて懺悔する。

「怠惰で愚かな私は悪魔にそそのかされ、嘘を貫き通し、愛する妻や子どもたちを騙しました」
「おまえの嘘は知っておる。だがな」

 神は諭すように彼に言う。

「おまえのせいで誰かが不幸になったか?」
「そ、それは」
「誰かを傷つけたか?」
「…それは」
「おまえの家族はおまえを愛している。おまえの死を悼んで悲しんでおるのだ。おまえの家族だけではない。おまえが関わった人間たちはおまえのことを憶えているぞ。そして彼ら皆、おまえを悼んでおるのだ」
「ですが神さま。それはすべて嘘なのです。彼らが見ていた私は虚像なんです。本当の俺は…グズで怠け者なんです。金が欲しくて、いい女を抱きたかった。それで、だから」
「愚かな人間よ。これより審判を言い渡す」

 神の言葉にハッと顔を上げそうになった彼は、再び平伏した。

「おまえの魂は…」