「転生したいなぁ、、、、」ただ1人、天井を見上げ薄暗い部屋でつぶやいた。




僕は、阿 柴野(いのまえ しの)高校3年生だ。最近、推しのVTuberが卒業してしまったのだ。
中学校1年生から見ている自分からしたら人生の3分の1は推しに費やしてきた。
その推しが卒業してしまった今、自分の心の中は穴が空いたようにも感じる。
本当に穴が空いてないか確認する。体に穴は空いていなかった。



「はぁ、、、」



僕は深く重いため息を付いた。SNSを見ているとある動画が回ってきた。



「みんなは狐の窓を知っているか?狐の窓を正しい方法で行うと狐が出てくるらしい。狐に会ったら願った世界に行けるらしいぞw くれぐれも自己責任で頼む。」



「絶対嘘やん笑」



そう声に出したが頭はそうは思ってなかった。



推しがいる世界線に行けるのではないか。そう思ってしまった。



あとから思ったが頭がおかしかったのだろう。



やったのだ。狐の窓を。



狐の窓の形をし、





「化生のものか 魔性のものか 正体をあらはせ。」





3回そう唱えた。好奇心と恐怖心が混ざりあった感情で穴を覗いた。





「は?」





そう言い僕は勢いよく倒れた。見間違ったのかと思った。夢だと思った。



いたのだ。狐が。



毛並みが整っており毛が白色、目の色が赤く鋭い目つきをしている。狐のいうよりかは狼に近いのかもしれ

ない。



狐は手招きをし、歩いていった。僕は疑心暗鬼で狐について行った。僕の部屋を出て、家を出て、電灯で薄く照らされている道を歩き、石の階段をあるいっていった。なにかが見えてくる。



「神社?」



神社が目の前に見える。驚くことでもないと思うだろうが、生まれてからずっとここに住んでいるにも関わらず、神社の存在を知らなかった。ちょうちんであたりが照らされており、夏の夜の涼しい風が吹いている。夜遅くのこともあってか不気味に思えてきた。



そんなことを思っているとさっきまでいた狐の姿はなかった。あたりを見渡すと突然神社の扉が開いた。



「うおぉ!」



扉が開いた先にはさっきまでいた狐がおり、その後ろには禍々しいオーラを放つ黒色よりの紫色をしたゲートらしきものがあった。狐がもう一度手招きをし、尻尾を振りながらゲートの中に入っていった。



僕は考えた。ほんとに入っていいのか? と。 いや、いいんだ。自分の中の意見がぶつかり合う。



だめだと思いながらも自分の足は動いていた。ゲートをまたいだその瞬間。



「こんこん〜!」



誰かの声が聞こえた。
「こんこん〜!」



誰かの声が聞こえる。

光が見える。明るい。目を開けるとそこは洞窟だった。

なんと狐が擬人化していた。白い髪と赤い目は変わっていないが、ロングで髪を結んでいなくほのかに甘い香りがした。巫女みたいな服装をしている。

可愛い////。



「いやぁ。あっちの世界はなぜか人の姿になれないんだよなぁ。拒否られるっていうか?できないっていうか?ごめんね?こっちの世界に呼んじゃって。名前アレプーっていうんだぁ。 君は?」



「あ、ども阿 紫野(いのまえ しの)です。でもゲートに入ったのは自分だから、、、。どうってこともないけど、、、、帰りたいんだけど!?大学行きたいんだけど!?」



帰れないことは薄々わかっているが聞いた。



「いやいやいや笑 無理だよ笑?」



「え!?なんでなん!?」

狐はわははははと豪快に笑った。悪魔だ。

僕はため息を付いたあと、どうしようかと焦り意味もなく歩き回った。徐々に違和感を感じ、動きが遅くなる。



「ん?」



やはり何かが違和感だ。



「どうしたの?」



僕はその声を無視し、鉱石?クリスタル?に身を近づけた。



「誰だよこいつ、、、。」



現世と自分の姿が違うのだ。ゲートをまたがる前は黒髪だったが頭の天辺が白い。なんで?まあでもカッコイイからいっか!



「とりまさここから出たいだけど。洞窟だし。暗いし!」



洞窟は真っ暗というわけではなくクリスタルが虹色に薄暗く光っている。



「え〜しょうがないなぁ〜」



にやにやしながら笑顔で胸のあたりををツンツンされた。



「僕の家に招待してあげるよ!」



そう言われツンツンされていた手を胸のあたりからお腹の上ぐらいまで上から下になぞられた。

次の瞬間僕は真下に落ちた。
僕は体をなぞられたあと黒い空間に落ちた。そこは真っ暗で体が重く感じられた。あとなんか息しにくいし。そんな事を思っている間に狐の家についた。

「は?」

僕は驚いて声に出してしまった。僕は想像していた。和風建築で落ち着いた部屋だと。

「何だよこの悪魔みてぇな部屋はよぉ!?なんか椅子に頭蓋骨付いてるし!!悪魔!?悪魔なんか!?」

アレプーは悪魔的な椅子に座りながら言った。

「まぁまぁ一旦落ち着いてよ。立ってても何だしそこの椅子座りな?」

そう指を指した。その先には球体のものが半分に切られて中身をくり抜いたかのような物がついている椅子があった。まるでチョウチンアンコウに食べられたスイカがついているかのように。

「え?もう死ぬん?まだ無双もしてないし、ラスボスも倒してないし、ヒロインと恋もしてないんだけど!?死ぬ!?死ぬの!?」

「うるっさ。殺すよ?」

え?ひどくない?あってまだそんなに時間立ってないと思うよ?初対面の人にそんなグサグサ行く?普通。
だが僕はやっぱり死にたくないから謝った。

「はいすんません。」
狐の家に招待されたがそれがなんと悪魔的存在な家!いや〜怖い。

「で、なんでこの世界に招待したかを聞いてほしいんだけど、、、」
「うん」

何を言われるかわからないからこそ不安になり冷や汗をかいた。

「君のいる世界であるアニメとか、ゲームとはは少し違う。ドラゴンを討伐したり、鬼を殺したり、海を彷徨ったりはしない。強いて言えば、、、呪術◯戦?
「あああああああああああああああああああああああ!!!だめだめだめ!!!名前出さないで!?やめて!?」

ほんとに冷や汗をかく。命が何個あっても足りない。

「まぁ聞けって。この世界にはお面があるんだよ。そのお面を回収してほしいの。」
「え?それ大丈夫?まんま呪術◯戦じゃん。」

アレプーが急に真顔になり言った。

「黙れ。」

僕は言葉を考えたが思い浮かばなかったため謝った。
「はいすんません」


「お面を回収してほしい。お面が何枚あるかもわからない。どこにあるのか、なんのお面なのか。わからない。」
「でも1つだけ分かってることがあるの。「「すべての面が集まったとき、神が集まるだろう。それは世界が変わる道になる。」」これが昔から言い伝えられているものよ。」

神。その言葉に聞き覚えもある。意味もわかる。だが僕は理解できなかった。なぜ僕がやるのか。なぜ僕が選ばれたのか。頭の中が真っ白になり何も考えが効かなくなっていた頃、アレプーが僕に問いただしてきた。
「yesかno。」

「そんなん、、、yesに決まってんだろ!!アニメ見てるだけで、vtuberが好きなだけで、学校でもオタクだとか、気持ち悪いだとか、馬鹿だの、カスだの散々言われてきてよぉ。さっきまで大学行きたいとか言ってたけどアレも全部嘘!ホントは人間と一緒にいたくないし、学校なんて行きたくなかった!毎日辛いし、苦しいし!」
「あっちの世界には僕の居場所なんてなかった!そんなときに転生だぞ?最高に決まってんじゃん!」
「だから、、、、やるよ。 僕の命をかけてでもやる。」

このときの僕の目は最高に光っていたと思う。ヒーローに憧れる少年の目のように。恐れはなかった。僕の中にあったのは希望。その感情に曇りはなかった。
言いたいことを言い終わったときアレプーの顔もまた光っていた。

「やっぱ、、、そうじゃなきゃ始まらないよね〜!  よし!」

小柄な体を精一杯動かし嬉しさを表現している。はしゃぎまわったあとアレプーは自身の懐に手を入れ狐のお面を大切そうに取り出した。白色の狐のお面で目の下に赤い勾玉模様が2本ずつ。中央の上(目の間の上)に2本線。左目に右下方向に黒い傷が入っている。大切そうに撫でたあとアレプーは言った。

「君のお面。」

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