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「真島って、どうやって元カノと付き合った?」





「別れたあとにその話する?ねぇ??」






喫茶店がアイドルタイムに突入し、手持ち無沙汰になった平日の午後。





俺の横で同じくボケーッと突っ立って口を開けたアホ面 ( 俺は口を閉じてた ) の真島に、昨日の帰りにふと思い浮かんで、その後消したことを、何となく質問してみる。





世の中のカップルがどんな出逢い方をしてどうやって付き合ってるかなんて、気にしたこともなかったし今後も興味ないと思っていたのに。





身近に聞く相手がこの真島しかいなかったので、心底仕方なく期待もせずに聞いたが、ひんしゅくを買う結果となった。





そんな俺の気の使えなさに全力で白い目を向けて批判してくる真島は痛くも痒くもないが、そのあとの鋭い質問返しには思わず面を食らった。






「…もしかして、好きな子でも出来た?」





「…………。なんでそうなる」






いやほんとに。常々アホだと思ってたこいつになぜそれが分かったのか…。





そしてなぜ図星に感じている、俺。





なぜか二重にショックを受けてしまうが、幸いなことに真島は俺の言葉を素直にそのまま受け取り、わざとらしく腕を組んで首を縦に大きく振った。






「うんうん、だよな〜。お前ってやつは人にまぁーったく興味ないんだからな〜」






まぁーの部分の目の見開き方に、そこはかとなくイラついたが、言ってることは確かに間違ってはいない。





人に興味はない。と、断言できると思う。





というか、そう思ってた。





それはこの21年間の人生の中で一度も揺らいだことはない。





俺の頭には、他人への興味関心という分野が備わってはいないんじゃないかと思えるほどであった。





…それなのに。





「―お、長尾さんだー。今日出勤日だったんかぁ」





「………」






あの人は、特別。





何故だかは分からないけれども。





名前が出れば肩が小さく跳ねるし、姿を見掛ければ目で追ってしまう。





でも俺って、こんなんじゃなかったのに…。





「あーで、忘れてたけど、俺と元カノの出会いはマッチングアプリで…」





「俺滝行でも行こうかな」





「えっなに佐渡くん。滝行??―おまえどうしちまったんだよ〜!?」






俺の肩を掴んで激しく前後に振ってくる真島に返す言葉なんてこれしかない。






「俺が聞きたいくらいだわ…」






揺れ動く視界の中で、自分の心もきっとこんな感じなのだとふと思った。