「―あの、ももさん」





「…はい」





「今日は、ダメですか?」





「…別に良いですけど…」






―よっしゃ。





心の中でそう小さくガッツポーズを取るが、瞬時にハッとし、ニヤけかけた顔を一転して引き締め平静を装う。





駅まで送っていったあの日以降、バイトの上がりが同じ日は欠かさず駅までの見送りを申し出ている。





まあ、いつ断られるかわからないけれども。





相変わらず人のことには興味ないし、真島に彼女が出来て一週間で振られたことにも眉一つ動かさなかった。





けれど、この人の事となれば、話は別…に、いつの間にかなってしまった。





そんなことを考えている間に、いつの間にか着替え終わったももさんが、スタッフに軽く挨拶をして、店の扉を開いた。






「…やば」






途端に焦りだした俺は、着替えを諦めてロッカーからパーカーを取り出し、制服の上から乱暴に着て、急いで店を後にした。