『お前を愛すことは決してないだろう』

 嫁ぎ先で迎えた結婚初夜。
 目の前にある美しい顔は、感情を失ったかのようにぴくりとも動かず、妻となった私にそう告げた。

『お前も承知の上でここへ来たのだろう?』

 私も同じように感情を押し殺して、こくんと首を縦に振った。

 ええ、分かっています、旦那様。
 私は決して愛されることなどないと。
 ただお傍に置いていただけるだけでよいのです。

 それだけで、私は幸せなのです。


 私の居場所はもう、ここにしかないのだから―。