「陛下、ご報告申し上げます。イザベラ様が今しがた、お戻りになられました」
彼のその言葉に、リュディガーは動揺を隠せず目を見開く。
「何故だ? 始末したはずではなかったのか!?」
「何者かが、手助けをしたものと思われます」
「手助けだと? あそこは『闇の森』だ。近づくものさえおらぬ!」
王はギルベルトを鋭く睨みつけた。しかし突き刺さるようなその視線にも、宰相は身動ぎひとつせず淡々としていた。
「それがこの度、気になる話を耳に致しまして。民の間で広がりつつある、とある噂についてでございますが……。なんでも、『闇の森』には『悪魔』が棲んでおり、人を攫う⋯⋯と」
「それがどうした? そんな与太話、事実を知らぬ者にはただの迷信に過ぎん! 古くから語り継がれてきた話だ。『闇の森』の由縁だろう。皆が知っている」
「陛下、問題はそこではございません」
「何?」
「数多の目撃者がおります。その『悪魔』をこの目で見たと⋯⋯。その容姿はとても美しく、銀色の髪をした青年の姿をしていた、とか」
「────なんだとっ!!」
飄々とした口調で語るギルベルトに、瞬間、王の顔色が変わる。
彼のその言葉に、リュディガーは動揺を隠せず目を見開く。
「何故だ? 始末したはずではなかったのか!?」
「何者かが、手助けをしたものと思われます」
「手助けだと? あそこは『闇の森』だ。近づくものさえおらぬ!」
王はギルベルトを鋭く睨みつけた。しかし突き刺さるようなその視線にも、宰相は身動ぎひとつせず淡々としていた。
「それがこの度、気になる話を耳に致しまして。民の間で広がりつつある、とある噂についてでございますが……。なんでも、『闇の森』には『悪魔』が棲んでおり、人を攫う⋯⋯と」
「それがどうした? そんな与太話、事実を知らぬ者にはただの迷信に過ぎん! 古くから語り継がれてきた話だ。『闇の森』の由縁だろう。皆が知っている」
「陛下、問題はそこではございません」
「何?」
「数多の目撃者がおります。その『悪魔』をこの目で見たと⋯⋯。その容姿はとても美しく、銀色の髪をした青年の姿をしていた、とか」
「────なんだとっ!!」
飄々とした口調で語るギルベルトに、瞬間、王の顔色が変わる。