「ヤツは我ら一族の身辺を徹底的に調べ、ついにその真相に辿り着いた。隠し通してきた『血清』の存在が、ゲオルクの知るところとなってしまったんだ。そしてその特性を知ったヤツは、我々からの略奪を考えた」

「その薬にどんな秘密があるっていうんだ?」

 訥々と語る彼の変わらない表情が、ふと、ヴィクトールに向けられる。重なった視線にクラウスは呟いた。

「⋯⋯不老不死だ」────と。

「不老不死?」

 彼の言葉を反復するヴィクトールだったが、思いはまだ半信半疑のよう。

「そんな夢物語みたいな話⋯⋯」

「だが事実だ。それはヴァンパイアの吸血行動を抑制するだけでなく、その治癒能力をも上げてくれる。それを人間に使えば、細胞の再生能力に限界がなくなる。つまり、寿命が伸びるんだ⋯⋯────しかし⋯⋯」

 それには副作用が伴うのだと、クラウスの語り口調は冷静なまま。