「どうして、そんなことに?」
抑揚もなく語るクラウスの話を、ヴィクトールは真剣な面持ちで聞いていた。
「それは、俺たち一族が『かつての王』と親密な間柄を築いていたからだ」
「『かつての王』?」
「この国の『真の王』だ。────彼の名は、ヴィンフリート・ヴェルナー」
聞き間違いか? と疑うも、見目麗しいその男は相変わらず無表情に、ヴィクトールをただ見ているだけ。
暫しの沈黙の後、彼はクラウスに問うた。自分のことかと。
ヴィクトールが驚くのも無理はない。この事実を知る者はもう、この世にはクラウスしか存在しないのだから。
「間違いなくお前の先祖だ、ヴィクトール。そして言わずもがな、お前こそがここアイゼンシュタットにおける、唯一の正統なる王位継承者となるんだ」
ヴィクトールにとって、それはまるで降って湧いたような話。想像さえしていなかった事実に、彼は発する言葉を失ったまま硬直していた。
呆然となっている目の前の男に、クラウスも黙ったまま。ヴィクトールの泳ぐ視線に、次の話が冷静に聞けるまで彼はそれを静かに見守ることにしたのだ。
クラウスはそんな彼の姿に、当時の国王の若き日の面影を見ていた。
抑揚もなく語るクラウスの話を、ヴィクトールは真剣な面持ちで聞いていた。
「それは、俺たち一族が『かつての王』と親密な間柄を築いていたからだ」
「『かつての王』?」
「この国の『真の王』だ。────彼の名は、ヴィンフリート・ヴェルナー」
聞き間違いか? と疑うも、見目麗しいその男は相変わらず無表情に、ヴィクトールをただ見ているだけ。
暫しの沈黙の後、彼はクラウスに問うた。自分のことかと。
ヴィクトールが驚くのも無理はない。この事実を知る者はもう、この世にはクラウスしか存在しないのだから。
「間違いなくお前の先祖だ、ヴィクトール。そして言わずもがな、お前こそがここアイゼンシュタットにおける、唯一の正統なる王位継承者となるんだ」
ヴィクトールにとって、それはまるで降って湧いたような話。想像さえしていなかった事実に、彼は発する言葉を失ったまま硬直していた。
呆然となっている目の前の男に、クラウスも黙ったまま。ヴィクトールの泳ぐ視線に、次の話が冷静に聞けるまで彼はそれを静かに見守ることにしたのだ。
クラウスはそんな彼の姿に、当時の国王の若き日の面影を見ていた。