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　色づき始める空。

　まだ闇夜の名残ある静寂の中、重く響く足音が朝露に濡れた大地を踏みしめる。

　武器を携えた兵士たちが何百と、まるで群れを成す獣のように、ある場所を目指していた。

『悪魔の住まう、エーベルヴァイン城へ！』────と。

　声高らかに近づいてくるその異様な気配は、未だ忘れられない。

　刻一刻と忍び寄る狂気の群れ。

　力付くでこじ開けられた扉からなだれ込む兵士たちの形相こそ、まさに「悪魔」だった。

　ヴァンパイアの弱点は太陽と銀。不老不死をも味方に付けた最強の一族であっても、それだけは古より変わらぬ彼ら最大の弱み。

　日の出は刻々と迫り、銀で造られた剣があちこちで振り下ろされる。────が、皆八つ裂きにされようとも、誰一人として抵抗する者はいなかった。

　血飛沫は空を舞い、身体は崩れ逝く。瞬く間に染まるその屍は真紅に埋れて。