クラウスはテラスから差し込む光りに身動きひとつせず佇み、まるで太陽を崇めるよう陽の光を受けている。その姿にヴィクトールは思わず叫んでいた。

「何やってんだよ!! 死んじまうぞ!!」

「問題ない⋯⋯これくらいなら」

「いや、だって────」

 朝日に照らされ佇むヴァンパイアの姿は、なんとも異様なもの。眩しそうに少し目を細め空に手を翳しながら流れるような動作で視線を室内に向けると、その視界に捉えたヴィクトールの姿をじっと見つめていた。

「案ずるな⋯⋯ヴェルナーの末裔よ」

 煌めく太陽を背負いクラウスは言う。

「その昔、お前と同じ瞳をした男がいた。とても素晴らしい人物だった」────と。

 戸惑いを隠せないでいる彼に、クラウスは静かに語り始めた。

「それは、今から四百年以上前の話しだ────」

 朝の景色は、今までにないくらい澄みきっていた。