じわじわと押し寄せる恐怖に身体中が震える。訳もわからず差し向けられた鋭い刃に、イザベラは抗うことさえ出来なかった。
「だから何のことだか分からない。私は本当に何も知らないの!! どういうこと?」
そう懸命に訴えるしかなかった。どんなに責められようが、脅されようが、何も知らないのだから応えようがない、と。
とにかく必死になり、彼に理解を求める。殺気に満ちた刃を向けられたままでは落ち着いて話も出来ないと、なんとかそれを収めてもらえるよう話し続けた。刺激しないよう言葉を選びつつ、自分は何も知らないのだと伝える他術はなかったから。
するとその必死の思いが伝わったのか、はたまた彼の諦めなのかは分からないが、途端に下ろされたその剣先に解けた緊張。しかし未だ消化できない怒りを抱えたままのヴィクトールは、イザベラを睨み返しながら刃を鞘にしまうと無言で部屋を出て行ってしまった。
軋むドアが一旦開かれ今一度閉じられた音に、彼女は全身の力が抜けたようその場に崩れ座り込む。
それ以後、二人が顔を合わすことはなかった。
「だから何のことだか分からない。私は本当に何も知らないの!! どういうこと?」
そう懸命に訴えるしかなかった。どんなに責められようが、脅されようが、何も知らないのだから応えようがない、と。
とにかく必死になり、彼に理解を求める。殺気に満ちた刃を向けられたままでは落ち着いて話も出来ないと、なんとかそれを収めてもらえるよう話し続けた。刺激しないよう言葉を選びつつ、自分は何も知らないのだと伝える他術はなかったから。
するとその必死の思いが伝わったのか、はたまた彼の諦めなのかは分からないが、途端に下ろされたその剣先に解けた緊張。しかし未だ消化できない怒りを抱えたままのヴィクトールは、イザベラを睨み返しながら刃を鞘にしまうと無言で部屋を出て行ってしまった。
軋むドアが一旦開かれ今一度閉じられた音に、彼女は全身の力が抜けたようその場に崩れ座り込む。
それ以後、二人が顔を合わすことはなかった。