「あなたは⋯⋯あなたの名前はクラウス・リーフェンシュタール。ここアイゼンシュタットに生きる、ヴァンパイア一族────ただ唯一の生き残り」

「ヴァンパイア⋯⋯⋯⋯純血種か? やっぱりお前が?」

 イザベラの言葉に反応し、そう目を見開いたのはヴィクトールだった。

「貴様ら、気でもふれたか? ヴァンパイアなど、この世に存在などしない」

 その言葉は二人を嘲笑っている。

 しかし、イザベラもそう簡単に引き下がりはしなかった。なおも食らいつき、「いいえ! いるわ」と、彼の言葉を真っ向から否定したのだ。

「あなたは悲しくも美しい、一輪の薔薇。見間違えるはずなんて⋯⋯」

 そのまま長い⋯⋯長い沈黙が続いた。