少女の問いかけに応えるよう、その者は今まで被っていたフードに手をかけそのままゆっくりとその背に脱ぎ捨てる。

 一連の動作を不安と好奇心の入り混じる感情で、じっと見つめていた幼い真っ直ぐなその瞳。そこに突如として飛び込んできた次なる光景に、少女は思わず息を飲んだ。

 目の前に広がる輝くばかりの銀色は空から伸びる月光に煌めいて、横切るそよ風にそっと揺れている。

 それは長く美しい見事なまでの銀髪だった。

 風に流れ靡く髪に見惚れていると、ふいにその姿が振り返る。自分より遥かに背の高いその容姿を見上げ、少女は驚き固まった。

 透き通るほどに白い肌と、整いすぎた顔立ち。無表情のままこちらを見下ろす瞳の色は灰色がかった鈍い紫色をしており、その神秘的な眼差しに幼い乙女心も釘付け。

 その美しさは性別さえをも越える、超絶的な『美』だった。

 きっとこの世の何を以てしても、その美しさの前では比にもならないほど。