次の日のホームルーム前。

 自分の席に奏がやって来ると、ひなたはピクっと動いて固い表情をした。



「何?」

「西井さんが言ってる漫画、僕も見てみた。」



 機嫌を取るような言葉に、ひなたはちょっと頬を赤らめた。


「あのライバルキャラが僕と似てるって、何が?。僕には全然分からなかったけど。」


 ひなたの顔を見て嬉しそうにした奏に、ひなたは焦って、咄嗟に嘘をついた。



「あの漫画はもう見ないことにしたんだ。」

「え、」

「だから奏くんに似てるかどうか覚えてない。ごめんね」



 ひなたは席を立つと、奏を振り切って女子トイレに行った。


 昼休みも同じ様だった。

 奏はひなたを追ったが、ひなたは捕まらなかった。