次の日のホームルーム前、ひなたは奏の姿を探したが居なかった。


「ひなた奏くんと仲良いよね」


 ロッカーにカバンを置いてきた冴が、自分の席を迂回してひなたの席で言った。



「仲良いっていうか」

「もう付き合ってる、様に見える」

「見えない見えない。ないない」

「嘘だあ」

「ないない。そんなんじゃないって。」



 ひなたは言いながら、もしそうなったらどうしよう、と一瞬考えた。

 その一瞬はとても幸せだった。