本日二度目の学校。全力疾走で4分前につけた。名簿を配る先生以外人がいない。

2年生の名簿を配る先生の方へ行くと、由が不思議そうに口を開いた。

「そっち2年生だよ!1年は体育館前だけど」

「ん?私今年2年だよ」

『え?』
二人揃って今まですれ違っていたことに気がつく。

「えー!そうなの?ごめん、見たことないから勝手に1年だと思ってた…」

えー!の声の大きさに2年の名簿を配っていた先生が私たちの存在に気がつく。

「おい!1分前だぞ。早く体育館迎え」

先生が声を上げる。噂に聞いてた通り怖そうな先生だ。

私たちは先生から名簿をもらいクラスを確認する。1学年10クラスでなかなか仲の良い人と同じクラスになれない。でも、少し期待してしまう自分がいた。由と同じクラスなら毎日が楽しそうだなと思ってしまう。

自分のクラスを探す。私はだいたい1番最後だからわかりやすい。

私は2組。由は…?

「俺また2組だーっ!…って、てんかも2組じゃん!え、嬉しい。がち嬉しい!」

「よかったぁ。安心した」

自然と温かいため息が出る。本当に安心だ。これから体育館へ行って自分のクラスの列に並ぶのも不安じゃない。初めて逃げてよかったと思った。逃げてなかったら由に会えてなかった。でも、これからは逃げない。由が居るから。

「おっ!2人とも2組か!もう始業式始まってるから、後ろから静かに入れるよな?」
 私の苦手な言葉だった。〝後ろから″この言葉で私がクラスへ行く希望を無くした時があった。あの時は一人だった。でも、今は…

「はい!俺がてんかの盾になりながら静かに行きます!」

嬉しかった。今の私には強い盾がある。

「盾になってくれるの?笑」

「うん!不安だし」

「由が不安なの?」

「不安だよ!てんか可愛いから男がみんな惚れちゃう」

「はいはい、早く行くよ」

「待ってよーこれじゃ、てんかが盾だな」

「ふふっ笑、頼り甲斐ありそう?」

「ちょー頼もしいっす」

そう言って私たちは桜道を走って体育館へと急いだ。