「てーんっ!遅刻しても知らないからね!お母さん仕事行ってくるよ」

 学校のある日は母さんの声で目が覚める。25時までドラマを見ていたからか今日はなかなか目が開かない。そんな中今日から2年生ということで、無理やり体を起こし半分寝ている状態で学校へ行く準備を始める。新しいクラスで新しい恋が始まる可能性もあるので、いつもより入念に身支度をする。

「おはよー。母さん行った?」

「行ったよー。あとね、ママが昼ごはん代てん姉に置いてってたよ」

「え、今日11時前には帰ってくるから家で食べれるんだけど。まぁ、お小遣いゲットー!」

「オッケー、ママに言っとく。」

「この口軽女め!黙ってパン食ってろ!」

「はーい、これもママに言おーとっ」

 はぁ、この口軽女が私の妹の凛花(りんか)だ。今年中学3年の受験生である。

 りんと朝から口喧嘩をしながら学校の支度をしていたので、あっという間に登校時間が来た。私は緊張と楽しみの混じる重い足を前へ一歩進ませた。