……村長。そういえば、この村は人口がかなり少なく、村と言えるぎりぎり、所謂集落になりかけのものだったはず。

それも、ここに来る時に見た限りでは、なぜか年寄りばかりではなく、子供(・・)や若い人たちばかりがいる、かなり不思議な村だった記憶がある。



「……わたしを引き留めたということは、なにか御用があるのでしょうか」

「はい。そうです」

「すみませんが少し人を待たせてしまっているので、急ぎでお願いできますか?」



たぶん、待っている人の予想よりはかなり早く終わった方だと思う。だから、多少遅くなっても実のところ問題はなかった。

……けれど、あまりこの村には長居しない方がいい気がする。


それに、遅いより早い方がいいから、早く切り上げるにこしたことはない。


なので、その男性と一定の距離を保ちながら、片手にいつでも通話を繋げられるようスマホを持って振り返れば。


今まで上がっていた男性の口角が、突然地に落ちた。



「─────あなたですかな?あの、山の中腹あたりにある、祠をこわしたのは」