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その、数十分後。
「……おわったあ」
シャベルを肩に担いで、土と別のもので汚れてしまった段ボールを抱えながら、わたしは人里に降りてきていた。
かなりの重労働だった。いつものおつかいやお仕事でもこうはならない。
……いつも、大変なんだなあ。あの人も。
「……そういえば、終わったら連絡しろって言われてたっけ」
ほんと、どこに行ったんだろう。わたしにこんな仕事を押し付けて。
……まあ、働けるひとがわたしとあの人以外いないのだから、忙しいのも無理はないのだけど。
どうせならもっと溜めてからでもよかったと思うのに。
なんてことを考えながら、慣れないスマホで例の人へ電話をかけようとしていた時だった。
「そこのお嬢さん」
「…………」
「そこの、綺麗な黒髪と白髪が混じったお嬢さんや」
「……わたしのことですか?」
背後から、しゃがれた声が飛んできた。