豹変した態度、動揺のない口調、朗らかな笑み。
それが、この穏やかな村とはある種一線を画していて、異質さが際立っている。
「……はい。彼にはそのように伝えておきます。では」
ぺこり、と軽い会釈をして、今度こそ背を向けて歩き出せば、村長も声をかけてはこなかった。
……いざとなったらこのシャベルを使うべきかなと思っていたけれど、杞憂で終わってよかったなあ。
あともう少し怪しい動きを見せられたら、もう一回山に掘削に行かなきゃならないところだった。
軽い安堵のため息をついて、本来連絡しようとしていた人へようやく通話を投げた。
「もしもし、聞こえてますか?」
『ああ、聞こえてるぞ』
「死体埋葬作業、完了しました」
『思ったより早かったな。お疲れ』
「いえ。細かく切り刻んでもらっていたおかげで、深く掘るだけですみましたから」
普通の会話。……わたしたちにとっては。
一般人にしてみれば、悍ましい会話だと思う、のに。
「あの、すみません」
『ん?どした?』
「……この村って、もしかしてそういう村ですか?」