窓からの日差しは、晴天であることを告げていた。
 今日は休日。
 午前九時を回っているが、いまだに布団の上で、タオルケットに包まっている。


 いつもより遅くの起床は、時間を贅沢に使用しているはずなのに、ほんの小さな考え事が頭の中から離れないでいた。
 はっきりしない意識で、先日会社で見た、蘭のノートのことを思い出していた。

 彼女は何気ない気持ちで、描いたデザインだろう。

 だがあの作品。会社のロゴマークから、必要以上に伝わるものが感じ取れた。
 蘭はデザイナーの職業と言うよりあの会社、先生や守君達のことが好きだということが。
 だからそんな発想が生まれ、描き表したのだろうと。


 蘭の言いかけた言葉は、おそらく私の作品。他の人の考えたものも見てみたかったのかもしれない。
 実際会社に入り、文字の配置や出来上がったイラストを組み合わせるなどの、仕事しか見せていない。
 描き始めてしまえば、得意分野のこともあるし、蘭の発想より、経験や知識のある私の方が、多彩な方向でデザインすることが出来るであろう。


 でも、いずれこの会社を離れ、現代アートの道に返ることも考えてる気持ちでは、彼女の作品以上に愛情は表せない。
 
 真面目で情けない自分を認めたくなく、今も必要以上に焦り、描けない言い訳だけを考えていた。 
 
 あっー駄目よ、駄目よ。もう少しこの休息を満喫しなければ。

 私は、心を落ち着かせるように呼吸を整え、再び眠りについた。