私は作戦を変え、とりあえず彼女の心を開くべく、当たり障りのない言葉で、コミュニケーションをこころみた。
「それにしても、今日は粒あんしか売っていなくて残念だったわ、私こしあんが好きだからテンション下がるなー」
視線を下に向けたままの蘭だったが、何の変哲もない話題に抵抗がなかったのか、ゆっくり口を開いた。
「私はどちらかといえば粒あんが好きなので、いただけて嬉しいですよ」
反応する蘭に、微笑を隠し安心をした。
そうよね、粒かこしの二択だもん。
これでウグイスあんが好きだと言ったら腰を抜かすけど。
手に持つあんパンを、一生懸命小さな口でもぐもぐ食べる仕草は、お化粧をし背伸びをしているが、まだ幼さは隠しきれていなかった。
やっぱりまだ子供ね。食べている仕草なんか可愛いじゃない。
彼女ぐらいの年齢で働く子は珍しいわけではないが、学業に専念し高校生活を楽しむ子もいる。
どのような事情で働いているは分からないが、大学まで母親に行かせてもらった私は、恵まれていた。
そんなことを思うと、何故か彼女がいとうしくなってしまい、更に言葉を引き出そうと友達のように話しかけていた。
「えっー本当に? こしあんの方が美味しくなーい? 私は断然こしあん派かな」
私も大きく口を開け一口パックっと食べると、蘭はもぐもぐ食べていたパンを飲み込み込んだ。
「粒の食感もいいじゃないですか、こしあんは、なんかこう、甘すぎませんか?」
自然な言葉が帰ってきたことに嬉しくなると、無意識に言葉が止まらなくなっていた。
「じゃあさー、桜の塩漬けの乗ったあんパンは、あれは甘さを引き立てながらの、しょっぱい味がいいと思わない?」
「桜ですか? 確かに美味しいですよね、でも、あまり食べたことが無いです」
蘭は口元緩ませ笑顔になっている。その表情を見た私は、現在会社に居ることも年齢が離れていることも忘れてしまっていた。
「ねえねえ、蘭。私昔から本当のあんパンってコシアンで桜が乗ったやつだと思っているんだ。今から確認してみようか」
突然元気よく話す私に、驚いた顔をしている。
「確認って図書館でしらべるのですか?」
「そうねー。えっへっへっへっ、ちょっと聞いてみようか」
「それにしても、今日は粒あんしか売っていなくて残念だったわ、私こしあんが好きだからテンション下がるなー」
視線を下に向けたままの蘭だったが、何の変哲もない話題に抵抗がなかったのか、ゆっくり口を開いた。
「私はどちらかといえば粒あんが好きなので、いただけて嬉しいですよ」
反応する蘭に、微笑を隠し安心をした。
そうよね、粒かこしの二択だもん。
これでウグイスあんが好きだと言ったら腰を抜かすけど。
手に持つあんパンを、一生懸命小さな口でもぐもぐ食べる仕草は、お化粧をし背伸びをしているが、まだ幼さは隠しきれていなかった。
やっぱりまだ子供ね。食べている仕草なんか可愛いじゃない。
彼女ぐらいの年齢で働く子は珍しいわけではないが、学業に専念し高校生活を楽しむ子もいる。
どのような事情で働いているは分からないが、大学まで母親に行かせてもらった私は、恵まれていた。
そんなことを思うと、何故か彼女がいとうしくなってしまい、更に言葉を引き出そうと友達のように話しかけていた。
「えっー本当に? こしあんの方が美味しくなーい? 私は断然こしあん派かな」
私も大きく口を開け一口パックっと食べると、蘭はもぐもぐ食べていたパンを飲み込み込んだ。
「粒の食感もいいじゃないですか、こしあんは、なんかこう、甘すぎませんか?」
自然な言葉が帰ってきたことに嬉しくなると、無意識に言葉が止まらなくなっていた。
「じゃあさー、桜の塩漬けの乗ったあんパンは、あれは甘さを引き立てながらの、しょっぱい味がいいと思わない?」
「桜ですか? 確かに美味しいですよね、でも、あまり食べたことが無いです」
蘭は口元緩ませ笑顔になっている。その表情を見た私は、現在会社に居ることも年齢が離れていることも忘れてしまっていた。
「ねえねえ、蘭。私昔から本当のあんパンってコシアンで桜が乗ったやつだと思っているんだ。今から確認してみようか」
突然元気よく話す私に、驚いた顔をしている。
「確認って図書館でしらべるのですか?」
「そうねー。えっへっへっへっ、ちょっと聞いてみようか」