彼女は私の言葉一つ一つに、クスックスッとっ笑っている。
 私はそれを見て、安心をするようだった。

「草……茜ちゃんは、お花好き?」

「はい、私はお花大好きです。見ているだけで幸せにしてくれるようで」

 人を幸せにする。何て良い言葉なんだろう。
 彼女の言葉に、心が踊ってしまう。

 隣から聞こえる優しい言葉と甘い香りは、心のモヤモヤを浄化させ、力がみなぎっていくようだった。

 彼女の発言がとても大事に感じると、ため息まじりに声が漏れていた。

「人を幸せに感じさせる。とっても素敵な言葉ね」

 うつ向きながら微笑む彼女は、視線を合わせることなく話している。

「京子さんも周りを元気に、幸せにしていますよ。現に今も楽しいですし、何だか一緒に咲いてくれるお花の様です」

 お花好きな少女の表現は可笑しくもあり、何処か変わっていた。
 ただその変わった言葉の一つ一つが、嬉しく感じてしまう。

「一緒に咲くお花かー。何だか照れちゃうなー」

 私は何だか体を動かしたくなると、ベンチから勢いよく立ち上がった。
 軽く屈伸をすると、そのまま両手を空に広げるように背伸びをした。

 そう言えば、まだ行動もしていないのに私ったら何悩んでいるんだろう。

 振り返り彼女を見つめると、彼女も笑顔のまま私を見つめている。
 純粋に思える眼差しに勇気をもらうと、先ほどまでの悩む自分が可笑しく思えてしまう。

「ふっふっ、あっ、ごめんなさい笑っちゃって」

 その日から私達は、特に会う日を決めることなく、偶然会い話す機会が増えて行った。
 年の離れた友人っとして安易に理解していたが、私は彼女を通し知らず知らずのうちに、前向きな自分を思い出すようになっていた。