目の前の守君が、折り紙を折っていることにも、疑問を覚えた。
守君の仕事。彼は一体何をやっているんだろう?
隣では先生の指導のもと、相沢さんが絵の描き方を教わっている。
あれ、これも仕事の一環かしら?
私は困惑の中、先生に尋ねてみることにした。
「先生あのー仕事は? 私は何をすればいいのでしょうか?」
「そうねーどうしようかしら? あっこれ去年のだけど、これを参考に今年のを作ってくれる」
渡されたのは町内で行われる、カラオケ大会のチラシだった。
「要望は、日にちと時間の文字を大きめに、目立つようにっと言われたぐらいだから」
受け取りながら考えた。
こんなんで利益になるのかしら? 私は疑問になり小声で守君に尋ねてみた。
「守君、これ、こんなチラシの作成でお金になるの?」
すると守君は、折り紙から目を離さず、当たり前のように言葉を返してきた。
「はい、去年は町内会からお礼に、お菓子と飲み物をいただきました」
私は返す言葉が見つからなかった。
「ところで守君、さっきから折り紙折っているけど、あなたの業務は何?」
「僕ですか? あの、その、僕はデザインっと営業をけんにんしています。センスが無いからほとんど営業がメインですけど、……あっはっはっはっは」
私は、慌てて声を返した。
「ちょっと、あっはっはっはっはっじゃないわよ。営業が何で昼間から社内で折り紙折っているのよー」
「あっ、えーとっ、出かけても……仕事がもらえなくて、無理に下さいっと言うのも申し訳なく……て」
昔から変わらない引っ込み思案の彼に愕然っとする中、隣からはマイペースで絵の描き方を教える先生の声だけが聞こえる。
まずい! まずいぞ。
今後会社としてやっていけないと危機感を覚え、不安だけが膨れ上がっていった。
とりあえず現状を把握しなければ。
カラオケ大会のチラシは後回しにして、現在までの注文内容の書類に目を通すことにした。
「守君、現在抱えている注文と、過去の注文書を見せてくれる」
受け取り目を通すと、利益になると思われるものは数件だった。
取り合ずこれと、これか。
「守君このロゴのデザインの進捗状況ってどうなっているの」
私がそう問いかけた内容は、インスタントコーヒーの容器に張る、ラベルのデザインだった。
怯えるように私を見ていた守君は、慌てながら机上の隅に積み重ねられた書類の束から 探し始めた。
「この中から先方に選んで貰おうと思うのですが……どうでしょう」
差し出されたものはクリップで止められ、数枚が束になっていた。
どれも凝ってはいるが、納得して提出出来るものは無い。
「これ、守君のデザイン? 先生のは?」
私が慌てるようにめくっていくと、最後の一枚だけそれまでと違い、単純ながらも私の興味をそそるものだった。
守君の仕事。彼は一体何をやっているんだろう?
隣では先生の指導のもと、相沢さんが絵の描き方を教わっている。
あれ、これも仕事の一環かしら?
私は困惑の中、先生に尋ねてみることにした。
「先生あのー仕事は? 私は何をすればいいのでしょうか?」
「そうねーどうしようかしら? あっこれ去年のだけど、これを参考に今年のを作ってくれる」
渡されたのは町内で行われる、カラオケ大会のチラシだった。
「要望は、日にちと時間の文字を大きめに、目立つようにっと言われたぐらいだから」
受け取りながら考えた。
こんなんで利益になるのかしら? 私は疑問になり小声で守君に尋ねてみた。
「守君、これ、こんなチラシの作成でお金になるの?」
すると守君は、折り紙から目を離さず、当たり前のように言葉を返してきた。
「はい、去年は町内会からお礼に、お菓子と飲み物をいただきました」
私は返す言葉が見つからなかった。
「ところで守君、さっきから折り紙折っているけど、あなたの業務は何?」
「僕ですか? あの、その、僕はデザインっと営業をけんにんしています。センスが無いからほとんど営業がメインですけど、……あっはっはっはっは」
私は、慌てて声を返した。
「ちょっと、あっはっはっはっはっじゃないわよ。営業が何で昼間から社内で折り紙折っているのよー」
「あっ、えーとっ、出かけても……仕事がもらえなくて、無理に下さいっと言うのも申し訳なく……て」
昔から変わらない引っ込み思案の彼に愕然っとする中、隣からはマイペースで絵の描き方を教える先生の声だけが聞こえる。
まずい! まずいぞ。
今後会社としてやっていけないと危機感を覚え、不安だけが膨れ上がっていった。
とりあえず現状を把握しなければ。
カラオケ大会のチラシは後回しにして、現在までの注文内容の書類に目を通すことにした。
「守君、現在抱えている注文と、過去の注文書を見せてくれる」
受け取り目を通すと、利益になると思われるものは数件だった。
取り合ずこれと、これか。
「守君このロゴのデザインの進捗状況ってどうなっているの」
私がそう問いかけた内容は、インスタントコーヒーの容器に張る、ラベルのデザインだった。
怯えるように私を見ていた守君は、慌てながら机上の隅に積み重ねられた書類の束から 探し始めた。
「この中から先方に選んで貰おうと思うのですが……どうでしょう」
差し出されたものはクリップで止められ、数枚が束になっていた。
どれも凝ってはいるが、納得して提出出来るものは無い。
「これ、守君のデザイン? 先生のは?」
私が慌てるようにめくっていくと、最後の一枚だけそれまでと違い、単純ながらも私の興味をそそるものだった。