響希はわたしのワンルームを見渡すと、ベッドに腰を掛けた。
そして「なんか、花澄らしい部屋だなぁ。オシャレってゆうか。」と言い、それからあるものを見つけると「あっ!」と驚いたような声を上げた。

「これ!ウサギ!」

響希が見つけたのは、小学生の頃の誕生日にプレゼントしてくれたウサギのぬいぐるみだった。

響希は、低いチェストに花瓶と共に飾るウサギのぬいぐるみを手に取ると「懐かしいなぁ〜!」とウサギを嬉しそうに見つめていた。

「ちょっと汚れちゃったけど、まだちゃんと飾ってるよ?」
わたしがそう言うと、響希は「ありがとう!」と言って、何度もウサギのぬいぐるみを撫でていた。

そんな響希を「可愛いなぁ。」と思ってしまっている自分がいた。

「そういえば、話し変わるけどさぁ。」
響希は、ウサギのぬいぐるみを膝の上に置いたまま、真剣な表情になり、そう言った。

「何で電話出てくれなかったの?LINEもそうだけどさぁ。」

響希の言葉の答えにわたしは困った。
正直に話せば、茜さんを悪者にしてしまう。

「もしかして、茜が何か言ってきたんじゃない?」
「えっ、、、」

わたしの反応に響希は呆れたように「やっぱりな。」と言った。

「やっぱりって、、、どうゆうこと?」

わたしがそう訊くと、響希は今までの茜さんとのことを話し出したのだ。