その嫌がらせは、毎日続いた。
その度にわたしは、紙を剥ぎ取り、グチャグチャに丸めて捨てる。

精神的にかなりダメージを受けたわたしは、嫌がらせが始まって5日目に響希に連絡することにした。

仕事が終わり、わたしは帰宅前に響希に電話をかけた。
響希は3コール鳴ったあとに電話に出てくれた。

「もしもし、花澄?なしたぁ?」

響希の声を聞き、安心から涙が溢れてくる。

わたしは涙声を我慢しながら「お願いがあるんだけど。」と言った。

わたしの声を聞き、異変に気付いた響希は「今どこ?」と訊いた。

「会社近くのセブンの前。」
「待ってろ!俺も今仕事帰りだから、すぐ行く!」

響希はそう言うと、慌てたように電話を切った。

それから10分も経たない内に、響希は走って息を切らしながら会いに来てくれた。

わたしの顔を見るなり「何があった?」と心配そうに訊く響希。

「一緒に家まで付いてきて欲しい。」
わたしがそう言うと、響希は「わかった。」と一言だけ言うと、それ以上は何も訊かず、静かにわたしの歩くテンポに合わせてゆっくり横を歩いてくれていた。