「あ、そういえばね、、、」
わたしは、ふと思い出したあることを響希に話すことにした。

「ん?」
「さっき、茜さんを見掛けたの。」
「えっ?どこで?」
「病院で。事務員の制服着てて、、、しかも、わたしを案内する係だったみたいで、、、めちゃくちゃ睨まれちゃった。」

わたしはそう言うと苦笑いを浮かべ、それから「茜さんって、響希と同じ会社じゃなかったっけ?」と訊いた。

すると響希は、「俺と別れたあとに退職したんだよ。社内で騒ぎ立てちゃったから、居づらくなったんだろうなぁ、、、。」と言った。

「そうだったんだ、、、。」
「でも、すぐに転職先見つかったんだな。まさか茜が病院で働き始めるなんて、意外だなぁ。」

不思議そうな表情で響希はそう言った。

このとき、わたしたちは全く気付いていなかった。
この出来事があんなことになるなんて、この時は予想も出来なかった―――