「…帰ってもいい?」

「まだ誰も送れねぇから、帰るんじゃねぇよ」



あたしの事が嫌いな割に律儀だ。

気遣うような灰色の言葉に笑いそうになる。


まぁ、この人達の立場は"兄"に逆らえないから仕方のないことだけれど。


「別に大丈夫」



そう言って立ち上がる。



あたしを睨み付けるオレンジ色が視界に入る。

銀色はあたしなんて視界に入れてもないようで、黙々とお昼ご飯を食べてる。



それが嬉しい筈なのに心は軋む。



「ちょっと、君。何かあってからじゃ、」

「何かあっても。あたしの責任だから」



貴方達は何も悪くない、と金色を黙らせる。



わざわざこの人達を縛り付ける必要もない。
所詮、あたしは押し付けられた"姫"なのだから。



望まれもしない、好かれてもない。


"お飾りのお姫様"



なんて滑稽で憐れな立場。