「無理矢理連れて行かれるのと自分で歩くのどっちがいい?」
嫌だと言うあたしに銀色が声を出した。……なんだかすごく物騒。
「じ、ぶんで歩きます」
流石に無理矢理は嫌なので自分で歩く事を選択する。
「お前ら、すまなかった」
立ち上がっていれば龍神の人達に頭を下げた兄。そんな兄に困惑する龍神の人達。あたしはそれを無視して、扉へと歩く。
「紗耶香さん、ありがとうございました」
途中で紗耶香にお礼を言う。
「気にしないで」
優しく微笑む紗耶香さん。
扉を開けて外に出たけどこのまま帰りたい。
「帰ろうとすんじゃねぇぞ、お前」
あたしの心を呼んだかのように後ろから灰色が追い付いてきた。
「行くぞ」
「コータ、ちゃんと連れて行ってあげてね。俺たちは処分に行くから」
灰色に腕を引かれて歩き出せば金色が声を掛けてくる。
「君も。髪整えておいで」
優しく笑った金色にぎこちなく頷けば更に優しく微笑まれた。
「車もう来る」
駐車場へと出ればどうやら直ぐに車が来るらしい。
待ってる間、あたしは先程の出来事を思い出す。
あれは間違いなくあたしの、叫び、だった。
心の叫び。
少女の本音。
それは、ただ、泣きそうな。聞いてる方が泣きたくなるような、叫びだった。