「もうこれ以上、龍神の人達に迷惑掛けたくないの。お願いだから」
お兄ちゃんが言えばあたしは姫じゃなくなるでしょ、と俯きながら呟く。
あたしを姫にしたのも兄。それなら姫から降ろすのも兄の役目の筈。
「出来、ない」
「なんで!あたしはもう迷惑なんて掛けたくない!」
出来ないと言う兄を怒鳴りつける。
「ねえどうして!」
「おい、そこまでだブス」
腕を振り上げて床を殴ろうとした時、後ろから腕を掴まれて止められる。
「は、いいろ」
「は?灰色?それ俺の事言ってんのか?ん?」
思わず声に出てしまった灰色と言う言葉に灰色が顔を引き攣らせる。
「瑠依さん、取り敢えず今日は俺たちに任せてくれませんか?」
呆然とする兄に声を掛ける灰色。
「おら、髪切りに行くぞ」
「や、だ」
あたしを立ち上がらせようと腕を引っ張ってくる灰色に首を振る。