「ちゃんと守れって何?自分は守れもしなかったのに?」
銀色達を庇うように前に出た。
1ヶ月振りに対面する兄はなんだかやつれている気がした。
「何も知らされず、"あんな目"にあって!"あの時"ほど死のうと思った事はない!」
前髪の隙間から兄を睨み付けた。
「自分は守れもしなかったくせに!なんで、あたしを押し付けられた龍神の人達を責めるの!」
声が震える。
悲しい、だとか怖いだとか。そんな感情じゃなくて、ただ純粋な怒りで声が震える。
「あたしを押し付けられて、面倒臭いものを押し付けられて!それでもあんたが押し付けたあたしをこの人達はちゃんと義務感から面倒みてくれて!」
「申し訳なさにあたしはいつも消えたいと願ってるのに!」
感情に任せてただ言葉をぶつける。あたしの言葉に後ろで誰かが息を呑むのが分かった。
「あたしを"見捨てて"、龍神の人達にこんな"汚い"あたしを押し付けたあなたに!」
「こ、こ」
「名前なんて呼ぼうとしないで!あなたに彼らを責める資格なんてない!」
精いっぱいこころの声を叫んだ。
兄に名前を呼ばれそうになって身体が震えた。