「打撲ね」
湿布を貼るしかないと彼女は呟いて、丁寧に湿布を貼っていってくれる。湿布の詰めたさと独特な匂いが身体から香って、自然と顰めっ面になってしまう。
「はい、お終いよ」
優しく制服を着せてくれてベットから立ち上がらせてくれる。時間も経てば痛みに慣れて動ける程までにはなった。
「蘭。あの子達入れてあげて」
保健医は黙って保健室の扉を開いて銀色達を中に入れる。その間にあたしは紗耶香さんに誘導されて、ソファに腰掛けた。
「あの」
「総長くん。怪我はほぼ打撲よ」
紗耶香さんに話し掛けた銀色があたしの怪我の説明を受ける。
あたしの事なんて気にする必要、ないのに。
銀色があたしになにか言おうと、口を開けたり閉じたりしていれば、バタバタと廊下から音がして、
「あいつは?!」
慌てた様子の兄が入ってきた。
どうして。誰が呼んだの。
呼ばなくていいと言ったのに。